蓄電池の導入を検討するにあたって一つの壁となるのが、初期費用の高さです。補助金込みでも軽自動車1台分と費用が高額になるのはなぜなのか、その原因を政府資料から解説します。
蓄電池が高額な理由
原材料費が高い
国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センターの資料によると、リチウムイオン電池の製造コストの内、原材料費が80%を占めています。家庭用蓄電池に内蔵されているリチウムイオン電池には、レアメタルが含まれていたり、加工に高度な技術が必要となる物質が大量に使われているため、原材料費が高いです。
世界的に電気自動車の普及が始まり、電池の部材が「取り合い」となっていることから取引価格が上昇する減少も昨今みられます。
流通マージンが厚い
経産省傘下の太陽光発電競争力強化研究会が公表した調査によると、家庭向け太陽光発電設備では同じメーカー・同じ型番の製品であっても、販売している代理店・施工業者によって1.5倍もの価格差が生じていると指摘されています。
また、三菱総合研究所の調査では蓄電池の設置費用の約47%が流通コスト、つまり販売代理店や卸売業者のコストだとされています。実際、流通経路が国内メーカー製よりシンプルだと言われているテスラのPowerwallは国内メーカー製より2~3割以上安い価格で消費者のもとに届きます。
太陽光発電や蓄電池は、一生の内に何度も購入する製品ではなく、消費者の側に十分な知識が無いことが多いです。中には暴利とも言える分厚いマージン(利益)を上乗せして蓄電池を販売している販売業者もおり、それが蓄電池の価格が釣り上がる一つの要因となっています。
寿命が10年程度と短い
初期費用が高額であっても、何十年と使い続けることが出来れば、年単位・月単位で割った費用は必ずしも高額とは言えなくなる場合もあります。
家庭用蓄電池の場合、通常の使用での「寿命」は10年前後とされています。家庭内の電化製品と同程度ではありますが、初期費用が高価な商品なので「もう少し長持ちしてほしい」と考える消費者は多いでしょう。
日本政府は2030年頃を目標に、家庭用蓄電池の寿命を「20年程度」とする目標を立てています。初期費用が変わらなければ、寿命が2倍に伸びることで年単位・月単位の実質費用は現在の半額になる見通しです。
複数業者をよく比較することが重要
同じメーカー・同じ製品であっても、購入する業者によって販売価格に数十万円単位で差が生じる場合があります。蓄電池を導入する場合は、必ず一括見積もりサイトで価格を比較検討することを強く推奨します。