原子力発電のメリットとデメリットを正しく理解しよう

原発の利点と欠点を改めて整理します。

原子力発電のメリット

他の発電方法と比較した場合の原子力発電の利点は以下のとおり。

燃料の安定供給が可能

原発の燃料となるウランは、世界中に点在して存在する天然資源です。オーストラリアやカナダ、ロシアなど多様な国で産出されています。

また、少ない量の燃料で多くの電力を生み出すことが出来る点でも、燃料の安定供給性の高さに利点があると言えます。

100万kWの発電所を運用するのに必要な燃料は、石油火力発電が155万トンであるのに対し、原子力発電では21万トンと7万分の1です。燃料の備蓄性が高いと言えます。

発電時にCO2を排出しない

原子力発電は発電時に二酸化炭素を始めとする温室効果ガスを排出しません。

発電所の建設や運用によって発生する排出量を比較しても、排出量は19g-co2/kWhと、474g-co2/kWhのLNG火力発電や26g-co2/kWhの風力発電(陸上)と比較して低排出と言えます。

我が国を始め、世界のいくつかの国では原子力発電を温室効果ガス削減の対策として位置づけています。

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大気汚染物質を排出しない

化石燃料を燃焼する火力発電では、大気汚染の原因物質を排出します。

喘息や酸性雨の原因となる硫黄酸化物は、日本の火力発電所の平均(2014年)で1kWhあたり0.2g、同じく酸性雨などの原因となる窒素酸化物は1kWhあたり0.3gを排出しています。これは主要先進国の中でも低い値と言えますが、汚染物質を排出しないわけではありません。

原子力発電では、こうした大気汚染の原因物質を排出しません。

原子力発電のデメリットと課題

他の発電方法と比較して欠点と言える部分を解説します。

使用済み燃料などの処理問題

原子力発電の運転によって使用済み核燃料を始めとする放射性廃棄物が発生します。我が国では燃料を有効利用するプルサーマル計画とあわせて、地層の深い部分で保管する「地層処分」の検討が長年にわたり進められてきましたが、未だ実現には至っておらず、中間貯蔵施設や各地の原発敷地内に保管される放射性廃棄物が増加を続けています。

放射性廃棄物は、放射能が減少するまでに数万~10万年にわたり保管し続ける必要があり、保管し続けることに対しては安全性に疑問の声が上がっています。

事故発生時の被害が甚大

1986年に現在のウクライナで発生したチェルノブイリ原子力発電所事故では、4000名近い人が命を落としたとされています(IAEA見解) 現在も発電所から半径30Km以内の区域への立ち入りが制限されています。

また、2011年に日本で発生した福島第一原発事故でも、原発周辺には帰還が困難となっている地域が残り、事故から8年が経った2019年5月時点でも約5万人が避難を続けています。

火力発電などでも死者が発生する事故が発生する場合もありますが、原子力発電によって発生する被害は長期間かつ広範囲に影響を及ぼします。

チェルノブイリ

安全対策による発電コストの上昇

かつては発電コストの低い電源として世界的に活用されていましたが、福島第一原発事故を機に安全対策の強化が必要となる原発が相次ぎ、海外では新増設の計画が中止しているものも多数あります。

また、太陽光発電など再生可能エネルギーのコスパの急激な低下に伴い、海外の一部地域では原発よりも遥かに低コストな再生可能エネルギー案件も登場しており、今後更にその価格優位性が揺らいでいくことが予想されます。