家庭用蓄電池は元が取れないと言われていますが、それは事実なのか。最新の情報をもとに、数字を示しながら解説します。
結論:元は取れない
結論を言えば、蓄電池は元は取れません。
蓄電池の費用
まずは蓄電池にかかる費用を見てみましょう。
蓄電池は年々価格が下がる傾向にありますが、現在の価格水準では一般家庭向け・10kWh未満の容量で工事費を含めて150万円~200万円が相場です。設置する業者、導入する蓄電池のメーカーや製品によって価格が大きく異なります(同じ製品でも購入する代理店によって1.5倍の価格差があるので一括見積もりサービスの利用が必須です)
国からの補助金、また自治体によっては独自の補助金を設けていることもあり、それを差し引きすると「150万円前後」と軽自動車の新車1台分程度の費用が掛かります。
得られる経済的メリット
蓄電池を導入することにより、経済的メリットを得ることが出来ます。代表的なものは以下のとおり。
- 割安な深夜電力の活用
- 太陽光発電の自家消費拡大
深夜の割安な電気で充電をし、昼間に放電することで差額分を節約できます。例えば東京電力エリアで一般的な深夜電力プランの場合、深夜帯が17.78円/kWhです。非深夜電力プラン(時間帯による料金単価変動が無い)は平均で26円/kWh程度なので、家庭で使う電力をすべて深夜電力でカバーできれば8円/kWh程度、一般住宅では月間2000~3000円の節約になります。
また、固定価格買取制度による余剰電力の売電が終了した太陽光発電設備(いわゆる卒FIT)の売電価格は10円/kWh程度です。電力会社から購入する電力は再エネ賦課金あわせて30円/kWh程度なので、余剰電力の売電を減らし自家消費を増やすことで約20円/kWhのメリットがあります(自家消費分には再エネ賦課金が掛からない) 卒FITしていない、例えば新築住宅でも10円/kWh近いメリットがあります。
収入と支出、差し引きすると・・
蓄電池の初期導入費用を150万円、耐用年数10年とすると1ヶ月あたりの費用は12500円です。初期費用を180万円とした場合は月15000円です。
12500円というと、平均的な戸建住宅の毎月の電気料金と同じ程度です。つまり、蓄電池を導入することで電気代を10年にわたって「タダ」にすることに出来れば、蓄電池を導入することで「元を取れる」と言えるわけです。
ですが卒FIT太陽光発電を保有している住宅を含め、蓄電池を導入しても電気代(電力会社からの買電)がゼロになるケースは非常に少ないです。つまり元は取れません。
太陽光発電未設置で深夜電力100%で生活する場合を想定した場合でも、経済的メリット(1kWhあたり10円の節約)が初期費用を上回るまでに35年掛かる計算となり、元を取る前に蓄電池が寿命を迎えます。
経済的メリット以外の点に注目しよう
現在の日本では蓄電池は元を取れないと断言出来ますが、太陽光発電(特に卒FIT)を導入している住宅では設置費用の半額前後は回収が可能です。地震や台風、電力不足時の停電対策として捉えると、必ずしも高額な費用とは言えません。
なお、蓄電池は同じメーカー・同じ製品でも販売代理店や設置業者によって価格が1.5倍程度の差が生じる(太陽光発電競争力強化研究会)と報告されており、導入を検討する場合は必ず複数の事業者を比較することが重要です。以下の見積もりサイトの利用を推奨します。