電力自由化を機に、一般家庭でも電力会社を自分の意思で選ぶことが可能となりました。しかし、脱原発を目的として電力会社を切り替えるにあたっては注意すべき点があります。

新電力に切り替えても「脱原発」にならない理由

単に原発を保有する大手電力会社から新電力に切り替えるだけでは、脱原発には何の貢献もありません。その理由を説明します。

新電力は大手電力から電気を調達している

新電力は自社で発電設備を保有していないところが多く、顧客に供給する電力は卸電力取引所からの調達に頼っています。

卸電力取引所は電力を取引するために設けられた市場で、発電設備を持つ売り手と新電力を始めとする買い手とが取引を行う場所です。

注意すべき点は、卸電力取引所で売りに出される電力の7割以上は、大手電力が売却しているものであることです。卸電力取引所で売買される電力には、原発の電力が当然含まれており、それを調達している新電力を選んだとしても脱原発に対して何ら効果は無いと言えます。

脱原発を実現する電力会社の選び方

脱原発に資する電力会社の切り替えも可能です。

電源構成を公表している電力会社を選ぶ

一部の新電力は電源構成を公表しており、卸電力取引所に頼らない調達を宣伝している企業もあります。そうした新電力を選ぶことで脱原発を進めることが可能です。

電力会社を選ぶ際には、以下で紹介する電力比較サイトを活用すると便利です。

新電力比較サイト

電気チョイス

自宅での発電も要検討

電力会社を切り替えた場合、いずれの会社と契約しても大手電力会社の送配電網を通じて家庭に電気が送電されます。この送電網は「託送料金」と呼ばれる費用が新電力から大手電力に支払われることで使用が可能となっています。

この託送料金には、2020年度から福島第一原発事故の賠償費用が上乗せされます。託送料金はいずれの電力会社・新電力でも同額となるため、どの会社に切り替えたとしても同じことですが、1kWhごとに費用が発生するため、電力会社からの購入量を減らすことで託送料金の発生を小さくすることが可能です。

購入量を減らすには節電に加え、自宅での発電が有効です。太陽光発電やエネファームといった発電設備の設置も検討しましょう。