「タダ電」は実は高い?メリット・デメリットを解説 | 電気代5千円までタダだが・・

タダ電とは

「タダ電」は、東京都港区のエスエナジー株式会社が2023年5月に始めた電力サービスで、毎月5,000円分までの電気代が無料になるという特徴があります。
一見お得に見えますが、料金の仕組みをよく理解していないと、思ったより高くつく場合があります。

料金の仕組み

電力量料金は70円/kWhに設定されています。月5,000円分までは無料ですが、超えた瞬間から次のような追加料金が発生します。

・基本料金 280円
・燃料費調整額 5,000円を超えた分から課金
・再エネ賦課金 同じく5,000円超から課金

つまり、使用量が71kWh以内なら無料ですが、72kWhを少し超えただけで一気に課金が始まります。使い方次第でお得にもなり、逆に損にもなるプランです(2025年秋の燃料費調整額の水準での試算)

タダ電のメリット

一人暮らしなら安くなる可能性

タダ電は使用量が少ない人に有利です。東京電力エリア(20A契約)の試算では次のようになります。

使用量東京電力EP
従量電灯B
タダ電
月71kWh2478円0円
月100kWh3236円2499円
月170kWh5395円7856円

月の使用量が115kWh以下であれば、大手電力より安くなる可能性があります。
一人暮らしで在宅時間が短い人、またはワンルームに住んでいて電気をあまり使わない人に向いた料金体系です。

初期費用・解約金がかからない

契約や解約に費用がかからないため、気軽に試せます。短期間だけ利用しても負担がありません。

市場連動型ではない

最近は電力市場価格に連動して電気代が上下する「市場連動型プラン」が増えています。
タダ電はこのタイプではないため、価格の急変に左右されにくく、料金が安定しています。
ただし今後、約款の改定によって料金体系が変わる可能性もあるため注意が必要です。

タダ電のデメリット

電力量単価が高い

タダ電の電力量料金は70円/kWhです。
東京電力の標準メニュー(従量電灯B)は30円から40円台の単価なので、その高さがよく分かると思います。
5,000円分が無料といっても、単価自体が高いため、少しでも使用量が多いと大手電力より高くなります。

ファミリー世帯では割高になる

電気を多く使う家庭ほど、タダ電は不利です。
4人家族(50A契約・月437kWh)の場合、タダ電では約28,366円になりますが、東京電力の標準メニューでは15,666円です。
使用量が多い世帯ほど、タダ電の高単価が負担になります。

料金改定が多い

サービス開始当初の2023年は「1万円まで無料」で「65円/kWh」でしたが、現在は「5千円まで」「70円/kWh」に変更されています。
基本料金も新設されており、条件は徐々に厳しくなっています。今後も料金改定によってお得度が下がる可能性があるため、契約時は最新情報を確認することが重要です。

契約を検討すべき人と避けるべき人

契約を検討してよい人

・一人暮らしで在宅時間が短い
・月の使用量が100kWh前後
・短期間だけ試したい

契約を避けたほうがよい人

・二人以上の世帯
・冷暖房を頻繁に使う
・使用量が毎月115kWhを超える

まとめ

タダ電は「電気をあまり使わない人専用のプラン」と言えます。
月5,000円以内に収まれば確かにお得ですが、少しでも使いすぎるとあっという間に高額になります。
「タダ」という言葉に惹かれて契約すると、かえって電気代が2倍近くになることもあります。

契約前に自分の平均使用量を確認し、本当に自分に合ったプランかどうかを見極めることが大切です。