発電時に二酸化炭素を排出しない原子力発電
原子力発電は発電時に二酸化炭素を始めとする温室効果ガスを排出しません。
化石燃料を燃料する火力発電では、燃料を燃焼する際にCO2などの温室効果ガスを排出しますが、原子力発電ではウランの核分裂を利用して熱を発生するため、燃焼が発生するわけではありません。そのため発電時に温室効果ガスを排出しないのです。
ライフサイクル全体での排出量は
ただし、発電所の建設や運用に伴う一連の活動に伴いCO2が排出されます。ライフサイクル全体ではどうか、検証します。
ライフサイクル全体でも低排出
発電所の建設のために稼働する工事車両や、稼働後の燃料の運搬、あるいは稼働を終えて解体する際の一連の活動によって排出されるCO2を勘案するのがライフサイクル全体の排出量です。
原子力発電の場合、1kWhあたりの排出量は19gとなり、石炭火力発電の943gやLNG火力発電(コンバインド)474gといった火力発電と比較して遥かに排出量が少ないです。
また、陸上風力発電の26gや、住宅用太陽光発電の38gと比較しても排出量が少ないと言えます。
地球温暖化対策の切り札としても期待されている
日本政府は2018年に発表したエネルギー基本計画の中で、2030年時点の電源構成の目標として原子力発電の比率を20~22%という計画を示しています。
依存度を出来る限り下げつつ、安全対策を最優先としながらも再稼働を進めていく方針を堅持しています。「2050年までに温室効果ガスを80%削減する」という高い目標を達成するためには原子力発電が不可欠であるとの考えのもと立てられた目標です。
海外においても、ドイツなどでは原発を利用しない方針を取っている国もありますが、フランスなどでは温暖化対策の観点から原発の使用を継続、あるいは中国やロシアでは原発の利用を拡大する方針を取っている国もあります。