電気代高騰リスクがあるジャパン電力のメリット・デメリット

ジャパン電力は電気代高騰リスクがある特殊な料金体系を採用しています。メリット・デメリットを分かりやすく解説します。

ジャパン電力とは

2021年に民事再生法申請 光通信グループの傘下に

ジャパン電力のかつての運営会社だったアンフィニは国内で太陽光発電設備の製造などを手掛けていましたが、中国製品の流入などにより経営が悪化。更に追い打ちを掛けるように2021年1月に電力の取引価格が暴騰するなどして2021年9月に民事再生法申請を行い倒産しました。

その後、ジャパン電力の事業は光通信グループが引き継ぎ、サービスの提供が継続しています。

ジャパン電力の特殊な料金体系

電力の取引価格によって電気代が変わる

東京電力や関西電力、あるいは東京ガスやENEOSでんきといった一般的な電力会社では、燃料の輸入価格の変動を毎月の電気代に加算・減産する燃料費調整制度が採用されています。財務省が毎月公表している統計をもとに計算されます。

一方、ジャパン電力では一般的な燃料費調整制度に加え、「調達調整費」という独自の料金項目を設けています。

調達調整費は日本卸電力取引所における電力の取引価格の変動を電気代に加算・減算する仕組みです。株式市場のように「電力」が取引されている卸電力取引所での取引価格の変動が電気代に反映される仕組みです。

ジャパン電力のメリット

電力の取引価格によっては電気代が安くなる場合がある

ジャパン電力の電気料金は、他の一般的な電力会社とは異なる動き方をします。その原因が卸電力取引所での電力取引価格を加味する調達調整費です。

通常の電力会社では電力の取引価格が安くなっても、電気代が安くなることはありません。電力の取引価格が低く推移する場面では、ジャパン電力の電気代が安くなる可能性があります。

ジャパン電力のデメリット・注意点

電力の取引価格によっては電気代が高騰する場合がある

メリットの裏返しで、電力取引価格が高騰した場合、ジャパン電力の電気代が高騰するリスクがあります。

電力の取引価格は通常、1kWhあたり10円以下とされています。ですが2022年以降は東京電力管内向けの取引価格が19.5~31.35円/kWhで推移しています(2022年1~12月) 燃料価格の高騰や、電力不足により高止まりが続いています。

また、過去には2021年1月には月間平均が66.53円/kWhをつけたこともあります。ジャパン電力の倒産の引き金になった出来事です。

燃料価格の高騰がおさまったり、あるいは国内で原子力発電所の再稼働が進めば電力取引価格が下がる可能性がありますが、現時点では下がるリスクよりも上がるリスクの方が大きく、このような料金体系はメリットよりもデメリットやリスクの方が大きいと私は考えます。ジャパン電力自身が電力取引価格の暴騰を一つの原因として一度倒産しているわけです。

解約違約金がある

契約から1年未満で解約する場合、3000円の解約違約金が発生します。

以前は解約違約金がありませんでしたが、光通信グループの傘下に入った頃に追加されました。ネット上では古い情報が見受けられるので注意してください。

九州でも要注意

2023年2月現在、ジャパン電力の公式サイトを見ると九州エリアで安いといった紹介がされています。

実際、九州エリアは全国のほかのエリアと比べて電力取引価格が低く推移しており、調達調整費の加算が少ない状況が2022年続いていました。原子力発電所が稼働していることと、太陽光発電の導入がさかんなことが要因です。

ですがそんな九州エリアであっても、例えば原子力発電所が何らかのトラブルで停止するなどした場合、電力取引価格が上昇するリスクがあります。得られるリターン(電気代引き下げメリット)と、起こりうるリスク(電力取引価格・電気代高騰)を天秤に掛けると、リスクの方が大きいと私は思います。九州電力は現在のところ従量電灯の値上げを発表していないので、九電の従量電灯を利用することを推奨します。