Vポイントでんきは電気代が高い!お得ではない事実

「めちゃめちゃお得」というかわいらしいテレビCMとともにサービス提供が開始された「Vポイントでんき」ですが、実際にはお得ではありません。なぜそう断言できるのか、分かりやすく解説します。

Vポイントでんきが実はお得ではないと言える理由

燃料費調整に上限が無い

電気代には固定の単価によって決まる基本料金+電力量料金(従量料金)に加え、毎月異なる単価で計算される「燃料費調整額」というものがあります(更に別途再エネ賦課金も)

燃料費調整額は、燃料の輸入価格の変動を毎月の電気代に転嫁する仕組みのことで、Vポイントでんきを含めほとんどの電力会社が採用しています。

東京電力や関西電力など大手電力会社の「従量電灯」と呼ばれる最もベーシックな料金プランでは、この燃料費調整に上限が設けられています。そのため、燃料価格が異常に高騰しても燃料費調整額が一定以上に値上がりしないようになっています。

一方、Vポイントでんきの燃料費調整にはこの上限がありません。燃料価格の異常な高騰が続けば、燃料費調整額は青天井で高くなっていく仕組みです。

燃料価格が高騰している

2022年から円安の進行とエネルギー価格の高騰により、日本が輸入している燃料の価格が異常な高騰を続けています。そのため2022年秋までに大手電力各社が設定した燃料費調整の上限に続々と達しており、全国の大手電力10社すべてがこの上限に達している状況です(2023年2月分)

Vポイントでんきは電気代の3%分をVポイントで還元してくれるため、電気代が3%安くなるはずですが燃料費調整額の部分でポイント還元を遥かに超えて電気代が高騰しており、付与されるポイントを考慮してもVポイントでんきは大手電力の従量電灯と比べて割高になっています。

2023年4月以降、お得になるケースが出てくる可能性も

大手電力10社のうち、8社が従量電灯を2023年春に値上げすることを発表しています。値上げを表明しているのは以下の8社です。

  • 北海道電力
  • 東北電力
  • 東京電力
  • 北陸電力
  • 関西電力
  • 中国電力
  • 四国電力
  • 沖縄電力

3~4割程度の値上げを発表しています。逆に、以下の2社は2023年1月時点で従量電灯の値上げを表明していません。

  • 関西電力
  • 九州電力

大手電力が値上げを実施した場合、大手電力の従量電灯がVポイントでんきよりも高くなる可能性があります。記事執筆時点で大手電力従量電灯の新しい料金体系が不明であり、また大手電力の値上げにあわせてVポイントでんきも料金を改定する可能性が低くないためあくまでも可能性ですが、今後「逆転」する可能性があることは付け加えておきます。

結論・まとめ

とはいえ大手電力が値上げするまではVポイントでんきが大手電力よりも高いことは揺るぎない事実なので、少なくとも大手電力の値上げプランとVポイントでんきの料金改定が出揃うまでは、Vポイントでんきを契約すべきではないと結論づけることができます。

また、現実的で値上げの予定が無い九州電力・関西電力エリアにお住まいの場合は、燃料価格が今より大幅に下落するまではVポイントでんきが大幅に割高な状況が長期間続くおそれがあります。月300kWhを使用する一般家庭の場合、月2000円前後も割高です(2023年1月分燃料費調整単価の場合)