金属製乾式キャスクを用いる
使用済燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針






原子力安全委員会
原子力安全基準専門部会



金属製乾式キャスクを用いる
使用済燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針


平成14年7月10日
原子力安全基準専門部会

まえがき

 本指針は、実用発電用原子炉の使用済燃料を金属製の乾式キャスクに収納して搬入し、長期間貯蔵した後、搬出する施設(以下「使用済燃料中間貯蔵施設」という。)の設置許可申請(変更許可申請を含む。以下同じ。)に係る安全審査を客観的かつ合理的に行うため、核燃料施設安全審査基本指針(昭和55年2月7日原子力安全委員会決定)に基づき、使用済燃料中間貯蔵施設に対する安全審査上の指針としてとりまとめたものである。
 本指針の取りまとめに際しては、原子炉安全基準専門部会報告書「原子力発電所内の使用済燃料の乾式キャスク貯蔵について」(平成4年8月27日原子力安全委員会了承)を参考とした。また、現在、民間において計画されている使用済燃料中間貯蔵施設を念頭において調査審議を行った。なお、調査審議において念頭においた使用済燃料中間貯蔵施設における使用済燃料の貯蔵期間は、おおよそ40〜60年間であると想定されている。
 本指針は上記使用済燃料中間貯蔵施設の安全審査上重要と考えられる基本事項について取りまとめているので、安全審査の段階においては、本指針は十分に満足されなければならない。しかし、事業者の申請内容が本指針に適合しない場合があったとしても、それが技術的な改良、進歩等を反映して、本指針が満足される場合と同等の安全を確保し得ると判断される場合、これを排除するものではない。
 なお、本指針は、今後さらに新たな知見と経験の蓄積によって、必要に応じて見直しを行うものとする。


T.適用対象
 本指針は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という。)第43条の4に掲げる、原子力発電所と独立して立地される使用済燃料貯蔵施設であって、使用済燃料集合体を事業所外運搬用の輸送容器である金属製の乾式キャスクに収納して搬入し、別の容器に詰め替えることなく貯蔵し、貯蔵終了後、施設外に搬出する使用済燃料中間貯蔵施設に適用する。なお、本施設では、貯蔵期間中及び貯蔵終了後において、収納された使用済燃料集合体の検査等のために金属製の乾式キャスクの蓋等を開放することは想定していない。
 本指針の適用に当たっては、貯蔵される使用済燃料が以下の条件を満足しているものとする。

  1. 貯蔵される使用済燃料は、実用発電用原子炉において照射された二酸化ウラン燃料及び混合酸化物燃料であり、設計貯蔵期間を通じて燃料被覆管の健全性が維持できると判断するに必要な科学技術的知見が得られているものであること。
  2. 原子炉から取り出した後、原子力発電所の使用済燃料プール等において、設計貯蔵期間を通じた燃料被覆管の健全性維持等の観点から必要な期間冷却されたものであること。
  3. 使用済燃料集合体を金属製の乾式キャスクに収納する時点において、使用済燃料集合体が健全であることが、原子炉の運転中のデータや必要に応じ燃料集合体シッピング検査等により確認されたものであること。

U.用語の定義
 本指針において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

  1. 「放射線業務従事者」とは、原子炉等規制法関係法令に定める放射線業務従事者をいう。
  2. 「安全上重要な施設」とは、その機能喪失により、一般公衆及び放射線業務従事者に過度の放射線被ばくを及ぼすおそれのある構築物、系統及び機器並びに事故時に一般公衆及び放射線業務従事者に及ぼすおそれのある過度の放射線被ばくを緩和するために設けられる構築物、系統及び機器をいう。
  3. 「金属製の乾式キャスク(以下「金属キャスク」という。)」とは、使用済燃料集合体を輸送及び貯蔵するために収納する金属製容器であって、使用済燃料の収納時にその内部を乾燥させ、使用済燃料を不活性ガスとともに封入(装荷)し貯蔵する乾式容器をいい、キャスク本体、蓋部、バスケット等で構成されるものをいう。
  4. 「バスケット」とは、金属キャスク内に収納される使用済燃料集合体を所定の幾何学的配置に維持するための構造物をいう。
  5. 「金属キャスク取扱設備」とは、使用済燃料中間貯蔵施設内において金属キャスクの移送等の取扱いに供される設備をいう。
  6. 「貯蔵建屋」とは、使用済燃料中間貯蔵施設において金属キャスク、金属キャスク取扱設備等を収納する建物をいう。
  7. 「設計貯蔵期間」とは、金属キャスクを設計するに当たり、当該金属キャスクが使用済燃料中間貯蔵施設内に貯蔵されると想定する最大の期間をいう。
  8. 「基本的安全機能」とは、閉じ込め機能、遮へい機能、臨界防止機能及び除熱機能をいう。
  9. 「閉じ込め機能」とは、一般公衆及び放射線業務従事者に対し、放射線被ばく上の影響を及ぼすことのないよう、金属キャスクに収納される使用済燃料集合体が内包する放射性物質を適切に閉じ込める機能をいう。
  10. 「遮へい機能」とは、一般公衆及び放射線業務従事者に対し、放射線被ばく上の影響を及ぼすことのないよう、金属キャスクに収納されている使用済燃料の放射線を適切に遮へいする機能をいう。
  11. 「臨界防止機能」とは、金属キャスクに収納されている使用済燃料が臨界に達することを防止する機能をいう。
  12. 「除熱機能」とは、金属キャスクに収納されている使用済燃料集合体の健全性及び安全機能を有する金属キャスクの構成部材の健全性が維持できるよう、使用済燃料の崩壊熱を適切に除去する機能をいう。
  13. 「最大想定事故」とは、安全上重要な施設との関連において、技術的にみて発生が想定される事故のうちで、一般公衆の線量が最大となるものをいう。

V.立地条件
指針1 基本的条件
 使用済燃料中間貯蔵施設の立地地点及びその周辺における以下の事象を検討し、安全確保上支障がないことを確認すること。

  1. 自然環境
      (1)地震、津波、地すべり、陥没、台風、高潮、洪水、異常寒波、豪雪等の自然現象
      (2)地盤、地耐力、断層等の地質及び地形等
      (3)風向、風速、降雨量等の気象
      (4)河川、地下水等の水象及び水理
  2. 社会環境
      (1)近接工場等における火災、爆発等
      (2)航空機事故等による飛来物等
      (3)農業、畜産業、漁業等の食物に関する土地利用及び人口分布状況等
指針2 平常時条件
 使用済燃料中間貯蔵施設は、平常時における一般公衆の線量が、法令に定める線量限度を超えないことはもとより、合理的に達成できる限り低いものであること。

指針3 事故時条件
 使用済燃料中間貯蔵施設に最大想定事故が発生するとした場合、一般公衆に対して、過度の放射線被ばくを及ぼさないこと。
  1. 事故の選定
      使用済燃料中間貯蔵施設の設計に即し、
      (1)施設内移送中の誤操作等による金属キャスクの衝突・落下
      (2)自然災害
      等、金属キャスクの基本的安全機能を著しく損なう恐れのある事故の発生の可能性を、長期貯蔵に伴う金属キャスクの構成部材の経年変化も踏まえ、技術的観点から十分に検討し、最悪の場合、技術的にみて発生が想定される事故であって、一般公衆の放射線被ばくの観点からみて重要と考えられる事故を選定すること。

  2. 放射性物質の放出量等の計算
      1で選定した事故のそれぞれについて、技術的に妥当な解析モデル及びパラメータを採用するほか、次の事項に関し、十分に検討し、安全裕度のある妥当な条件を設定して、放射性物質の放出量等の計算を行なうこと。
      (1)燃料被覆管からの放射性物質の漏えい量
      (2)金属キャスクの閉じ込め機能や遮へい機能の健全性
      (3)放射性物質の漏えいを想定する金属キャスクの基数
      (4)放射性物質の大気中の拡散条件
      (5)評価期間

  3. 線量の評価
      1で選定した事故のうち、2の計算により一般公衆に対して最大の放射線被ばくを及ぼす事故を最大想定事故として設定し、その場合の線量をもってしても、一般公衆に対し、過度の放射線被ばくを及ぼさないことを確認すること。ただし、1で選定した事故による一般公衆の放射線被ばくがいずれも想定し得ない場合には、本評価は要しないものとする。

W.放射線管理
指針4 閉じ込めの機能
 使用済燃料中間貯蔵施設は、以下の対策を講ずることにより、放射性物質を限定された区域に閉じ込める機能を有する設計であること。

  1. 金属キャスクは、設計貯蔵期間を通じて、使用済燃料集合体を内封する空間を負圧に維持できる設計であること。
  2. 金属キャスクは、使用済燃料集合体を内封する空間を、蓋部において多重の閉じ込め構造により容器外部から遮断できる設計であること。また閉じ込め機能について監視ができる設計であること。
  3. 金属キャスクは、万一の蓋部の閉じ込め機能の異常に対して、蓋を追加装着できる構造を有する設計とすること等、閉じ込め機能の修復性に関して考慮がなされていること。
  4. 金属キャスクは、燃料被覆管の健全性を維持する観点から、設計貯蔵期間を通じて燃料被覆管の温度を低く保つことができる設計であること。
  5. 金属キャスクは、その閉じ込め機能を維持する観点から、設計貯蔵期間を通じてその構成部材の健全性が保たれる温度範囲にあるよう設計されていること。

指針5 放射線遮へい
 使用済燃料中間貯蔵施設は、直接線及びスカイシャイン線による一般公衆の被ばく線量が十分に低くなるように適切な放射線遮へいがなされていること。また、放射線業務従事者の作業条件を考慮して、十分な放射線遮へいがなされていること。
 金属キャスク以外のものに遮へい機能を期待し、かつその遮へい材にコンクリート等を使用する場合は、遮へい材の温度をその遮へい能力が損なわれない温度以下に保つ設計であること。

指針6 放射線被ばく管理

  1. 作業環境における放射線被ばく管理
      (1)放射線業務従事者の作業環境を監視、管理するため、線量率等の監視系統及び測定機器並びに線量率の異常な上昇に対する警報系統を設けること。
      (2)上記監視系統及び警報系統からの主要な情報は、適切な場所において集中して監視できる設計であること。
  2. 放射線業務従事者等の個人被ばく管理放射線業務従事者等の個人被ばく管理に必要な線量計等の機器を備えること。
  3. 管理区域の区分使用済燃料中間貯蔵施設の管理区域は、線量率及び表面汚染密度の程度により必要に応じて適切に区分し、適切な出入管理等を行える設計であること。

X.環境安全等
指針7 放射性廃棄物の放出管理
 使用済燃料中間貯蔵施設は、その貯蔵等に伴い発生する放射性廃棄物を適切に処理すること等により、周辺環境へ放出する放射性物質の濃度等を合理的に達成できる限り低くできるようになっていること。

指針8 長期貯蔵等に対する考慮
 使用済燃料中間貯蔵施設は、使用済燃料集合体の健全性及び基本的安全機能を有する構成部材の健全性を、長期貯蔵に伴う経年変化等を考慮し、以下の対策を講ずることにより、設計貯蔵期間を通じて適切に保つことができる設計であること。

  1. 基本的安全機能を維持する上で重要な金属キャスクの構成部材は、設計貯蔵期間中の温度、放射線等の環境、並びにその環境下での腐食、クリープ、応力腐食割れ等の経年変化に対して十分な信頼性のある材料を選定し、その必要とされる強度、性能を維持し、必要な安全機能を失うことのない設計であること。
  2. 金属キャスクは、使用済燃料集合体を不活性ガスとともに封入(装荷)して貯蔵するものであること。
  3. 金属キャスクは、使用済燃料集合体の健全性及び基本的安全機能を有する構成部材の健全性を維持する観点から、使用済燃料の崩壊熱を適切に除去できる設計であること。
  4. 貯蔵建屋は、金属キャスクの表面からの除熱を維持する観点から、建屋内の雰囲気温度を低く保つことができる設計であること。また貯蔵建屋内の雰囲気温度が異常に上昇していないことを監視できる設計であること。

指針9 放射線監視
 使用済燃料中間貯蔵施設は、放射性廃棄物の放出の経路における放射性物質の濃度等を適切に監視するための対策が講じられていること。また、放射性物質の放出の可能性に応じ、周辺環境における線量率、放射性物質の濃度等を適切に監視するための対策が講じられていること。


Y.臨界安全
指針10 単一金属キャスクの臨界安全
 使用済燃料中間貯蔵施設における金属キャスクの単体は、使用済燃料集合体を収納した条件下で、技術的にみて想定されるいかなる場合でも臨界を防止する設計であること。
 金属キャスクは、内部のバスケットが臨界防止機能の一部を構成する場合には、設計貯蔵期間を通じてバスケットの構造健全性が保たれる温度範囲に維持できる設計であること。

指針11 複数金属キャスクの臨界安全
 使用済燃料中間貯蔵施設は、施設内における金属キャスク相互の中性子干渉を考慮し、技術的にみて想定されるいかなる場合でも臨界を防止する対策が講じられていること。

指針12 臨界事故に対する考慮
 使用済燃料中間貯蔵施設において、誤操作等により臨界事故の発生するおそれのある場合には、万一の臨界事故時に対する適切な対策が講じられていること。
 ただし、指針10及び指針11を満足し、かつ貯蔵される使用済燃料が金属キャスク内に収納されている場合においては、物理的に臨界になり得ないので、この限りではない。


Z.その他の安全対策
指針13 地震に対する考慮
 使用済燃料中間貯蔵施設は、敷地及びその周辺地域における過去の記録、現地調査結果等を参照して、最も適切と考えられる設計地震力に対し基本的安全機能が維持できる設計であること。

指針14 地震以外の自然現象に対する考慮
 使用済燃料中間貯蔵施設における安全上重要な施設は、敷地及びその周辺地域における過去の記録、現地調査等を参照して、予想される地震以外の自然現象のうち最も苛酷と考えられる自然力を考慮した設計であること。

指針15 火災・爆発に対する考慮
 使用済燃料中間貯蔵施設は、火災・爆発の発生を防止し、かつ、万一の火災・爆発時には、その拡大を防止するとともに、施設外への放射性物質の放出が過大とならないための適切な対策が講じられていること。

  1. 使用済燃料中間貯蔵施設は、実用上可能な限り不燃性または難燃性材料を使用する設計であること。
  2. 使用済燃料中間貯蔵施設において可燃性物質を使用する場合は、火災・爆発の発生を防止するため、着火源の排除、異常な温度上昇の防止対策、可燃性物質の漏洩防止及び洩れ込み防止対策等適切な対策が講じられていること。
  3. 火災の拡大を防止するために、適切な検知、警報系統及び消火設備が設けられているとともに、火災による影響低減のために適切な対策が講じられていること。

指針16 電源喪失に対する考慮
 使用済燃料中間貯蔵施設においては、停電等の外部電源系の機能喪失時に、以下の安全上必要な設備・機器を作動し得るのに十分な容量及び信頼性のある電源系を有すること。

  1. 金属キャスクの閉じ込め機能監視設備
  2. 放射線監視設備
  3. 火災等の警報設備、緊急通信・連絡設備、非常照明灯等の設備・機器

指針17 金属キャスクの移動に対する考慮
 使用済燃料中間貯蔵施設においては、使用済燃料を収納した金属キャスクの受入れ、貯蔵及び搬出にかかる金属キャスクの移動に対して、基本的安全機能を維持する観点から、適切な対策が講じられていること。

指針18 事故時に対する考慮
 使用済燃料中間貯蔵施設は、事故時に対応した警報、通信連絡、放射線業務従事者等の避難等のための適切な対策が講じられていること。

  1. 適切な放射線計測器、放射線防護具等が必要に応じ確保されていること。
  2. 通常の照明用の電源が喪失した場合においても、その機能を失うことのない退避用の照明を設備し、かつ、単純、明確及び永続性のある標識のついた安全退避通路を有する設計であること。

指針19 共用に対する考慮
 使用済燃料中間貯蔵施設の安全上重要な施設のうち、当該使用済燃料中間貯蔵施設以外の原子力施設との間または当該使用済燃料中間貯蔵施設内で共用するものについては、その機能、構造等から判断して、共用によって当該使用済燃料中間貯蔵施設の安全性に支障をきたさないものであること。

指針20 準拠規格及び基準
 使用済燃料中間貯蔵施設における安全上重要な施設の設計、材料の選定、製作、工事及び検査は、適切と認められる規格及び基準によるものであること。

  1. 使用済燃料中間貯蔵施設は、「原子炉等規制法」、「建築基準法」、「消防法」等日本国内法令を満足すること。
  2. 安全上重要な施設の設計、材料の選定、製作、工事、検査等については、適切と認められる国内の規格及び基準によるものであること。なお、国内において規定されていないものについては、必要に応じて十分使用実績があり、信頼性の高い国外の規格及び基準によるものであること。

指針21 検査、修理等に対する考慮
 使用済燃料中間貯蔵施設は、安全上の重要性及び必要性に応じ、適切な方法により検査、試験、保守及び修理ができるようになっていること。


(解説)

U.用語の定義

  1. 本指針において「安全上重要な施設」には、金属キャスク、金属キャスクの支持構造物及び金属キャスクの取扱設備が含まれる。上記施設のうち、その機能喪失により、一般公衆及び放射線業務従事者に過度の放射線被ばくを及ぼすおそれのないことが明らかな場合は、これを安全上重要な施設から除外することができる。
  2. 本指針でいう「金属キャスク」は、使用済燃料を貯蔵する機能を有すると同時に、事業所外運搬に使用される輸送容器の機能を併せ持つ。したがって、金属キャスクは、搬入時における原子炉等規制法59条の2あるいは船舶安全法28条に基づく規則等において要求される諸要件を満足するものであることを前提とする。

指針1 基本的条件
 社会環境に関する事象として注目すべき点は、近接工場における事故及び航空機に係る事故である。
 近接工場における事故については、事故の種類と施設までの距離との関連においてその影響を評価した上で、必要な場合、安全上重要な施設が適切に保護されていることを確認すること。
 航空機に係る事故については、航空機に係る施設の事故防止対策として、航空機の施設上空の飛行制限等を勘案の上、その発生の可能性について評価した上で、必要な場合は、安全上重要な施設のうち特に重要と判断される施設が、適切に保護されていることを確認すること。

指針2 平常時条件

  1. 使用済燃料中間貯蔵施設からの放射線による外部被ばくの評価を行う際には、直接線及びスカイシャイン線による影響を考慮すること。
  2. 使用済燃料中間貯蔵施設から環境への放射性物質の放出による一般公衆の年間の線量が、十分な安全裕度のある計算条件を考慮しても、極めて小さくなることが明らかな場合には、その評価は要しないものとする。

指針3 事故時条件

  1. 放射性物質の放出量等の計算における評価期間の設定に当たっては、事故発生後異常を検知するまでの時間や、影響緩和のための対策に要する作業時間等を適切に考慮すること。
  2. 線量の評価で、「1で選定した事故による一般公衆の放射線被ばくがいずれも想定し得ない場合には、本評価は要しないものとする」とは、最大想定事故が一般公衆の放射線被ばくに至らない場合に、あえて技術的に想定し得ない事故を仮想し、一般公衆の放射線被ばくを評価することまでは要求しないことをいう。

指針4 閉じ込めの機能
 「燃料被覆管の健全性を維持する観点から、設計貯蔵期間を通じて燃料被覆管の温度を低く保つこと」とは、燃料被覆管の累積クリープ歪みに着目し、その値が燃料被覆管の健全性を維持する観点から定められた量を超えないように燃料被覆管の温度を低く保つことをいう。

指針5 放射線遮へい
 金属キャスクの線量率の評価に当たっては、設計貯蔵期間中における金属キャスクのガンマ線遮へい材及び中性子遮へい材の放射線照射等による遮へい性能の低下を考慮すること。

指針7 放射性廃棄物の放出管理
 使用済燃料中間貯蔵施設で発生する放射性液体廃棄物を環境に放出する場合には、放出される排水中の放射性物質の濃度及び量を合理的に達成できる限り低くするために、必要に応じて適切な処理が行える設計であること。

指針9 放射線監視

  1. 使用済燃料中間貯蔵施設で発生する放射性液体廃棄物を環境に放出する設計である場合には、その放出口またはその他の適切な箇所において、それぞれ放射性物質の濃度等を適切に監視するための対策が講じられていること。
  2. 周辺環境等における放射線監視については、事故時においても線量率、放射性物質の濃度等に関する情報を得るための対策が講じられていること。

指針10 単一金属キャスクの臨界安全
 設計では、収納する使用済燃料の濃縮度及び燃焼度並びにそれらの分布、キャスク内外の水あるいは水蒸気の存在、バスケット内の燃料位置、金属キャスク本体、バスケット及び使用済燃料集合体の形状変化等、中性子吸収材を使用する場合はその濃度、非均質性、設計貯蔵期間における減損等をそれぞれ適切に安全裕度を考慮して合理的に仮定すること。

指針13 地震に対する考慮

  1. 使用済燃料中間貯蔵施設の設置される敷地及び敷地周辺の地質・地盤に関しては、「原子力発電所の地質、地盤に関する安全審査の手引き」等を参考にして、必要な調査を行うこと。
  2. 金属キャスクの支持構造物は、設計用限界地震による地震力が作用しても、金属キャスクの基本的安全機能を損なわないこと。ここで、「設計用限界地震による地震力」とは、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(以下「耐震設計審査指針」という。)に規定される「設計用限界地震による地震力」の算定法により算定した地震力をいう。
  3. 貯蔵建屋、その他の構造物(金属キャスクの支持構造物を除く)及びキャスク取扱設備は、設計用限界地震による地震力が作用しても、金属キャスクの基本的安全機能を損なわないこと。
  4. 貯蔵建屋及びその他の構造物(金属キャスクの支持構造物を除く)は、これらに遮へい機能を期待する場合には耐震設計審査指針に規定される「Bクラスの施設」の設計であること。
指針14 地震以外の自然現象に対する考慮
 「予想される地震以外の自然現象のうち最も苛酷と考えられる自然力」としては、敷地及びその周辺地域の自然環境をもとに洪水、津波、台風、積雪等のうち予想されるものに対応して、過去の記録の信頼性を十分考慮の上、少なくともこれを下まわらない苛酷なものであって、妥当とみなされるものを選定すること。なお、過去の記録、現地調査の結果等を参考にして必要のある場合には、異種の自然現象を重畳すること。

指針15 火災・爆発に対する考慮
  1. 「不燃性」とは、火災により燃焼しない性質をいう。
  2. 「難燃性」とは、火災により著しい燃焼をせず、また加熱源を除去した場合は、その燃焼部が拡がらない性質をいう。
指針17 金属キャスクの移動に対する考慮
 「適切な対策」とは、金属キャスク取扱設備の金属キャスク落下防止対策、金属キャスク相互の衝突防止対策等をいう。

指針21 検査、修理等に対する考慮
  1. 本施設においては、設計貯蔵期間を通じて、金属キャスクの基本的安全機能を確認するための検査及び試験並びに同機能を維持するために必要な保守及び修理ができるようになっていること。また、金属キャスクを本施設外へ搬出するために必要な確認ができるようになっていること。
  2. 金属キャスク取扱設備は、動作中に金属キャスクの基本的安全機能を損なうことがないよう、必要な検査、修理等ができるようになっていること。




(検討の経緯)

 当専門部会は、平成12年12月20日に開催された第1回原子力安全基準専門部会において、以下の専門委員からなる「中間貯蔵施設指針検討分科会」を設置し、検討を開始した。

稲葉 次郎(主査代理)  (財)環境科学技術研究所
梅澤 修 横浜国立大学大学院工学研究院
大谷 圭一 防災科学技術研究所実大三次元震動破壊実験施設整備
北村 隆文 核燃料サイクル開発機構国際・核物質管理部
衣笠 善博 東京工業大学大学院総合理工学研究科
小島 圭二 (財)産業創造研究所
古平 恒夫 日本原子力研究所東海研究所保安管理室
代谷 誠治 京都大学原子炉実験所核エネルギー基礎研究部門
田中 俊一 日本原子力研究所東海研究所
中込 良廣 京都大学原子炉実験所原子炉安全管理研究部門
東 邦夫(主査) 舞鶴工業高等専門学校
八十川 欣勇 (社)日本海事検定協会
吉澤 善男 東京工業大学原子炉工学研究所


 同分科会は、平成13年1月16日に第1回会合を開催し、検討を開始して以来12回の会合を開催し、平成14年6月28日の第12回会合において結論を得て、同分科会としての検討結果をとりまとめた。
 当専門部会は、平成14年6月14日に開催した第7回会合において同分科会から指針案の中間報告を受け審議した。
 当専門部会は、平成14年7月10日に開催した第8回会合において同分科会から最終報告を受け審議し、専門部会としての検討結果をとりまとめた。

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