ONEでんきが料金改定で電気代高騰リスクのある料金体系に

グランデータが提供している「ONEでんき」が2022年3月末に約款を改定、電気代高騰リスクのある料金体系へと変更されました。その影響を解説します。

グランデータの約款変更の内容

2022年3月31日に変更を発表

今回の料金体系の変更は2022年3月31日付けでグランデータ社の公式サイト上で発表され、2022年5月から適用されると発表されています。

燃料費調整の「追加調整」が追加された

今回の最大の変更点は、燃料費調整に「追加調整」という項目が追加された点です。

これまでのONEでんきの料金プランは、大手電力や他の新電力と同じように燃料の輸入価格の変動を電気代に反映する燃料費調整が導入されていました。この燃料費調整の計算方法は大手電力と同じです。燃料費調整は料金改定後も引き続き適用されます。

それに加えて新たに追加されたの「追加調整」です。この「追加調整」が利用者にとって大きなリスクとなる恐れのあるものです。以下、詳しく解説します。

「追加調整」とは

今回追加された「追加調整」を一言で表すと卸電力取引所の取引価格を電気代に反映する仕組みです。

2021年秋頃から卸電力取引所での電力取引価格が高騰しています。グランデータを始め、多くの新電力は卸電力取引所から電気を調達しています。料金改定前のグランデータを含め、ほとんどの料金プランは卸電力取引所の取引価格を電気代に反映することが出来ないため、取引価格高騰が起こると新電力にとって仕入れ価格だけが上昇し、経営に大きなダメージがあります。

そこで2021年秋頃から、卸電力取引所の取引価格を電気代に反映出来る仕組みを新たに導入する新電力が徐々に増えています。他社では「電源調達調整費」という名前で導入しているところが多いですが、グランデータの「追加調整」も他社の電源調達調整費と同じような仕組みで卸電力取引所の取引価格変動を電気代に転嫁します。

具体的な影響は?電気代が2倍近くに高騰する恐れも

平均取引価格追加調整単価追加調整額
月300kWh使用
66.53円/kWh
2021年1月高騰時
小売自由化後最高値
56円/kWh16800円
30.76円/kWh
2022年3月高騰時
20円/kWh6000円
4.83円/kWh
2020年7月暴落時
小売自由化後最安値
-3円/kWh-900円

グランデータの約款をもとに、東京電力エリアの過去の平均取引価格で追加調整をシュミレーションしました。

取引価格が下落すると電気代が安くなる場合もありますが、電気代本体価格の2倍以上の負担が発生する恐れもあります。

追加調整は取引価格の「3ヶ月平均」を元に計算するため、追加調整によって電気代が2倍以上に高騰するリスクは必ずしも高くはありません(ゼロでもない)が、2021年12~2022年2月の平均取引価格で計算すると追加調整額は3000円以上(使用量300kWhの場合)となり、直近の実績でも電気代が大手電力の標準メニュー(従量電灯)より大幅に高くなることが想定できます。

契約者は何をすべきか

契約者が取るべき対応を解説します。

過去の電力取引価格から今後の見通しを確認しよう

グランデータの追加調整は、過去の電力取引価格を元に計算されます。例えば5月の電気代に適用される追加調整は、前年12月~2月の卸電力取引所の取引価格で計算されます。したがって、過去(半年~数ヶ月前)の卸電力取引所の取引価格の平均値を見ることで、電気代が高騰してしまうか判断することが出来ます。

卸電力取引所の取引価格は環境市場というサイトで簡単に確認できます。取引価格の平均は8円前後です。追加調整は地域によって異なりますが電力取引価格が10~13円を超えると発生します。

電気代の高騰が避けられない場合は

電力取引価格高騰が発生し、追加調整による電気代高騰が避けられないと分かったら、他社への切り替えがおすすめです。追加調整が大幅に発生した場合、ONEでんきは大手電力よりも電気代が高くなる恐れがあります。大手電力に戻すのも良いですし、追加調整や電源調達調整費が無い他の新電力への切り替えでもかまいません。

切り替え先としておすすめの新電力は

ONEでんき
フリープラン
北海道電力エリア29.5
東北電力エリア26.4
東京電力エリア26.4
中部電力エリア26.4
北陸電力エリア21.3
関西電力エリア22.4
中国電力エリア24.4
四国電力エリア24.4
九州電力エリア23.4

現在、燃料価格の高騰が発生しています。電気代には燃料価格の変動によって上下する燃料費調整という料金項目があるため、燃料価格が高くなると電気代も高くなります。

大手電力会社の従量電灯プランと呼ばれる標準プランでは、この燃料価格に上限があります。ですがほとんどの新電力、そして大手電力会社の新しい料金プラン(従量電灯以外)には上限がありません。電気代本体部分が安くなっても燃料費調整の上限の違いでかえって電気代全体で見ると高くなってしまう危険性が高いため、燃料費調整に上限を設けている新電力と契約するか、大手電力の従量電灯プランをおすすめします。

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